赤緯占星術を公開します
ミネルバのふくろうは、今日も黄昏時に飛び立ちます。
こんばんは。
2015年初めての更新です。いつもながら長らくお待たせしました。
現在も研究進行中の「赤緯(declination)」について、いよいよ公開を始めます。
赤緯を総合的に読んでいく、この技法を「赤緯占星術」と呼ぶことにします。
Kindle版電子書籍リリースを準備中ですが、今回講座を行なうことになりました。
<Stargazerで始められる赤緯占星術>
このブログを読んでいる方で、Stargazerを使っている方も多いでしょう。
Stargazerの画面には、感受点の黄経の位置と赤緯の位置と両方が表示されます。
黄経については、サイン、ハウス、アスペクト、さらにサビアンまで、
基本的な知識から読み方まで、いろいろな情報を得ることができます。
ところが、赤緯については基本的な知識も読み方も、
これまでほとんど公開されてこなかったと思います。
ですが、「赤緯占星術」に詳しくなるほど、いかに今まで貴重な情報を捨ててきたのか、
気づかれていくことでしょう。
それは、「赤緯占星術」にはとてもクルーシャルな情報が含まれているからです。
クルーシャル(crucial)という単語には、なかなかピッタリ合う日本語がないようです。
ただ単に重要なだけでなく、結果を左右するような決定的に重要な、という意味です。
決定的に重要な情報がある「赤緯占星術」は、また分かりやすいということでもあります。
「赤緯占星術」のどんなところが、クルーシャルなのか。
まずは、いろんな例から見ていきましょう。
<蟹座でもアウト・オブ・バウンズの火星は強力>
クルーシャルな情報の一番目の代表例が、アウト・オブ・バウンズです。
黄道面の赤緯、23.26度を超える赤緯度数が、アウト・オブ・バウンズです。
アウト・オブ・バウンズの感受点(天体)は、並外れた能力を発揮します。
次の三人のアスリートの火星が、アウト・オブ・バウンズです。
本田圭佑 (サッカー選手) 火星 南緯25.09度 山羊座23.00度
ダルビッシュ有(野球選手) 火星 南緯28.25度 山羊座11.31度
松岡修造 (テニス選手) 火星 南緯24.35度 山羊座10.24度
優れたアスリートの中でも、並外れた活躍をしている(した)方たちです。
アスリートの命運を左右する火星が、アウト・オブ・バウンズなのも頷けます。
ですが、こんな見方をする方もいるかもしれません。
三人とも、山羊座火星のエグザルテーション。だから、ここであらためて、
アウト・オブ・バウンズ、規格外と言うこともないんじゃないの?
では、次の方はどうでしょう?
千代の富士貢(相撲力士) 火星 北緯24.25度 蟹座 04.00度
スポーツ万能、ウルフと呼ばれ、鍛え上げられた筋肉質な肉体を誇った横綱です。
蟹座火星はフォールとされますが、火星の力が弱まっているとは決して言えないはずです。
むしろ、アウト・オブ・バウンズ、規格外の火星が横綱の力をよく説明しているように、
思えます。
アスリートではありませんが、次のような方もいます。
山中伸弥(医学者) 火星 北緯23.32度 蟹座 08.00度
ノーベル生理学・医学賞を受賞、しかし、柔道二段、マラソンが趣味のスポーツマンです。
アウト・オブ・バウンズの火星が、研究面でのスタミナに役立っているように思えます。
上の五人の方の出生図を読むとき、サインやアスペクトなど黄経の情報の前に、
火星がアウト・オブ・バウンズと分かっていれば、かなり特徴を掴みやすいでしょう。
「赤緯占星術」の情報はクルーシャル、分かりやすいのはこうした点にあります。
<赤緯で読むスティーブ・ジョブズ>
「赤緯占星術」のアスペクトにも、クルーシャルな情報があります。
「赤緯占星術」のアスペクトは、パラレル、コントラパラレルの2つしかありませんが、
アスペクトになる感受点(天体)は、多くの情報を語っています。
実際の出生図で、パラレルの例を見てみましょう。
下は、アップルの創業者、スティーブ・ジョブズの出生図です。
(クリックすると拡大します)
これだけの有名人ですから、既にいろんな方の読み方が発表されています。

(Stargazerの出力物掲載には許可を得ています)
私は、スティーブ・ジョブズの予見力、揺るぎない信念の力に強く印象付けられています。
まるで未来の世界を訪れその場で見てきたかのような、革命的な製品を想像する予見力。
革命的な製品を、コンセプトから実際に世に出すまでの途方もない信念の力。
iPhone、iPadは、世界中で多くの人が手にして、文字通り彼が言うように、
「宇宙に衝撃を与え」「世界を変えて」きたと言えます。
その未来を予見する力と、揺るぎない信念の強さはどこから生まれたのでしょう。
黄経のアスペクトを見てみましょう。
火星は冥王星とトライン、天王星がスクエア、海王星がオポジション、です。
行動力とリーダーシップ、押し出しの強さはカリスマ的なものを示しています。
金星、火星、天王星、海王星が、活動サインのグランドクロスです。
周囲の人を、興奮の坩堝に巻き込むような荒々しさがあります。
では、予見力とヴィジョンは?
宗教や哲学への傾倒は?
絶対的なまでの信念と自信は、どこからやってくるのでしょう?
赤緯のアスペクトを見てみましょう。
太陽 南緯09.24度
海王星 南緯09.08度
太陽と海王星がパラレルです。そして、太陽は魚座にあります。
魚座の支配星は海王星です。太陽は海王星が支配星の魚座にあり、
パラレルと二重に海王星の影響を受けていて、海王星の性質を強く濃くしています。
海王星は、ヴィジョンと直感力、時空を超えた予見力を授けます。
ここに、ジョブズの未来を見通す予見力とヴィジョンの源があります。
このように、二重の影響のことをダブル・ワミー(double whammy)と言うことがあります。
パラレルは、もう一つあります。
木星 北緯22.20度
天王星 北緯21.49度
冥王星 北緯22.58度
冥王星と木星のパラレルは、極限なまでの絶対的な信仰や信念です。
成功を収める人にも見られる一方、新興宗教にのめり込むような人にも見られます。
ジョブズのパラレルには、これにテクノロジーの天王星が加わって、
変革とテクノロジーがもたらす発展に、絶対的なまでの信念を抱いているのです。
太陽と海王星、木星と冥王星の組み合わせは、まるで宗教団体の幹部か教祖のようだ、
とは言い過ぎでしょうか。
この組み合わせにテクノロジーの天王星が加わって、革命的な製品を生み出すことに、
まさにすべてを捧げた生涯だったのでしょう。
さて、アウト・オブ・バウンズとパラレルは、以前から使われてきた技法でした。
私は、この技法にさらに、「シャーマニック・シンボル」を加えた読み方を紹介します。
「シャーマニック・シンボル」とは、赤緯の一度ずつに割り当てられた、
詩文で構成されたシンボルです。
言わば、赤緯度数のサビアンシンボルと言っていいでしょう。
ただ、一行だけのサビアンシンボルと違い、何行もわたって書かれていています。
シンボルの文章を読んでいると、とても抽象的な内容なので、解釈しづらい面もあります。
ですが、松村先生の言う数の原理に基づいて読んでいくと、一貫した流れが見えてきます。
ジョブズを例に、シャーマニック・シンボルを見ていきましょう。
パラレルになっている太陽が南緯09.24度、そして海王星が南緯09.08度です。
松村先生のサビアンと同じように、数えの度数に直しますから、
太陽も海王星も、南緯10度のシャーマニック・シンボルを読んでいくことになります。
10の数字は、1から9までのサイクルを完成させて外側に打ち出していきます。
何か具体的な形あるものに落とし込むので、ジョブズの場合、これは製品開発でしょう。
では、北緯と南緯にはどんな意味が見いだせるでしょうか。
北緯の象徴的な意味、南緯の象徴的な意味とは、何でしょうか。
私はここで、北緯とは「トナール」、南緯とは「ナワール」のことだと、言い切ります。
「トナール」って何ですか?「ナワール」って何ですか?
という方もいらっしゃるでしょう。
ここでごく簡単に解説しておきます。
トナールもナワールも、カルロス・カスタネダの著作に登場します。
カスタネダの師匠である、ヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンが教えます。
人間には生まれときから働く二つの異なる側面があり、それがトナールとナワールで、
トナールは言葉で表わせるすべてのもの、ナワールはそれ以外のもの、だと。
そして、ナワールは際限のない大海、海であり、トナールは海に浮かぶ島だ、とも。
南緯が象徴するものも海、北緯が象徴するものも島、と表すことができます。
海とはリソース、資源、命の源のことです。
すべての命は海から生まれ、形になり、やがて形を失い、海に還ります。
命を宿すものは形ある未来を目指し、到達してから形を手放し過去に帰っていきます。
命の故郷である南緯。南緯10度のシャーマニック・シンボルには、こう書かれています。
「左側には雄鹿、右側にはヒグマがいて、アーチ門に案内されます。
小道を辿ると、動物、岩、植物、すべての守護者が集まる場所に到着します。
深い海の中に足を踏み入れ、海の中の洞穴に着ます。
ここは母なる生地、宇宙の中心です」
シャーマニック・シンボルの全文は長く、これは要約したものです。
動物に導かれて、生命の進化の源をさかのぼり、やがて海の生命の根源に到達する、
生命の源に帰っていくイメージが描かれています。
ジョブズの太陽と海王星は、生命の源を象徴する、南緯10度にあります。
ジョブズは、海の単細胞から魚、動物、そして人類へと進化してきた、
生命の進化の途方もない長い歴史を顧みていたのでしょう。
その上で、人類の進化の歴史に残るような製品開発を目指したのです。
そして、木星、天王星、冥王星のパラレルは、テクノロジーの革新的発展こそ、
人類の智恵を駆使する最高の表現だと確信したのだ、言えるのです。
こうしたジョブズの考察は、「スティーブ・ジョブズ1995」に、こう書かれています。
(ここから引用)
地球上のさまざまな動物の移動効率を測定した記事で、
クマやチンパンジー、鳥、魚などが載っていた。
1キロ移動するのに何キロカロリー消費するかがね。
人間についても測定していたけれど、トップはコンドルだった。
でも、自転車に乗っている人間を測った。断トツだった。
私はこの記事に衝撃を受けたんだ。人間は道具を作る生き物で、
道具によって生まれもっての能力を劇的に増幅できるという事実が、
鮮やかに脳裏に刻まれた。
将来、人類の歴史を振り返った時、人類が発明したあらゆるもののなかで、
コンピュータがもしトップでなかったとしても、
トップにきわめて近いところに位置づけられることになると心から確信している。
(引用ここまで)
ジョブズの揺るぎない信念と情熱、そして人類史の哲学がこの言葉に集約されています。
太陽と海王星の南緯10度のパラレル、木星、天王星、冥王星のパラレル、
の言葉の集約がここにあります。
このように、「赤緯占星術」にはとてもクルーシャルな情報が含まれているのです。
もう一つ、「赤緯占星術」のクルーシャルな情報を見出す技法を少し紹介しましょう。
<エバーティン・ライフ・スパン・グラフ>
進行法の月の動きは、三重円の予測技法の中でよく活用されます。
進行法の月の赤緯での動きも、とてもクルーシャルな情報を示しています。
進行法の月の赤緯の位置は、ターニングポイントを示します。
重要な位置は、進行法の月の北緯と南緯の頂点、そして0度の三つの位置です。
進行法の月の動きをグラフにして、人生のターニングポイントが示されている、
「ライフ・スパン・グラフ」として表したのが、かのエバーティンです。
ミッドポイントだけでなく、赤緯の研究でもエバーティンは優れた成果を残したのです。
再び、スティーブ・ジョブズを例に見ていきましょう。
ジョブズの生涯こそ、波乱万丈の生涯だった、と言えます。
ヒッピーから、パーソナルコンピュータを販売、アップルの株式公開で億万長者へ。
ところが業績不振の責任を問われて、一転して頂点からアップルを追われることに。
やがて、アップルのCEOに返り咲きiPhoneを開発、アップルは時価総額最大の企業に。
ジョブズの無名時代、株式公開の頂点、復帰後の躍進は、
進行法の月の赤緯の位置が示すターニングポイントと一致します。
1974年、ジョブズの進行法の月は南緯24度、南緯の頂点にありました。
南緯頂点は、生命の故郷に戻って自分のリソース、資源を充填するときです。
この年、ジョブズはヒッピー生活真っ盛り、自分探しのためインドに放浪の旅に出ました。
進行法の月はやがて南緯の頂点から、スポットライトを浴びる北緯に向かっていきます。会社を設立してコンピュータを販売、アップルは株式公開を果たします。
株式公開翌年の1981年に進行法の月は赤緯0度、ジョブズは一躍時の人になりました。
業績不振の責任を問われて、取締役会を追放されたのが、1985年です。
進行法の月が、北緯の頂点に達したのが1987年です。
この時から、ジョブズは自分が創業したアップルの経営からは離れていきます。
進行法の月は南緯に向かい、結婚、子供の誕生と充実した私生活を過ごしていきます。
やがて、アップルの正式なCEOに返り咲いたのが、2000年です。
翌年の2001年に、進行法の月は南緯の頂点に達します。
この年、ジョブズはiPodを発表、この時からジョブズの躍進が始まります。
2008年に進行法の月は、赤緯0度になります。
この前年がiPhoneを発売した年です。
株価も急伸し、iPadも発表、時価総額最大の企業へと向かっていきます。
進行法の月が北緯に向かう時代が、脚光を浴びながら躍進していく時。
進行法の月が南緯に向かう時代が、リソースを充填し、私生活を充実させる時。
北緯と南緯の頂点と赤緯0度が、ターニングポイントを示すのも、よく分かります。
「赤緯占星術」には、とてもクルーシャルな情報が含まれているのです。
(この三つのポイントの他にも、重要なターニングポイントがあります)
「赤緯占星術」には、使える情報がとても多いと実感しています。
今までの黄経の情報に加えて、これからは赤緯の情報も読むのもごく当たり前に、
なってくるでしょう。
黄経と赤緯の二つを読む、デュアルなリーディングへ。
これから公開を始めます。
「赤緯占星術」については、Kindle版電子書籍のリリースに向け、準備中ですが、
リリースの前に、講座を行なうことになりました。日時などは、次のとおりです。
*************************************
日時 2015年4月4日(土)
18:30~20:30 20:30~カフェタイム
場所 東京メトロ「外苑前」駅近くのカフエ
参加費 3000円
*************************************
参加申し込みや、場所の詳しい案内は次をご覧ください。
おーぷん・ざ・せさみず
赤緯の1度ずつのシンボル、「シャーマニック・シンボル」を紹介しますが、
これはおそらく日本で、初めての紹介になるでしょう。
「エバーティン・ライフ・スパン・グラフ」の求め方も紹介します。
「プログレス・シナストリ」作成手順は、CDのお土産付き予定です。
皆さまの参加をお待ちしています。
↓今回もご愛読ありがとうございます。応援いただきありがとうございます。

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こんばんは。
2015年初めての更新です。いつもながら長らくお待たせしました。
現在も研究進行中の「赤緯(declination)」について、いよいよ公開を始めます。
赤緯を総合的に読んでいく、この技法を「赤緯占星術」と呼ぶことにします。
Kindle版電子書籍リリースを準備中ですが、今回講座を行なうことになりました。
<Stargazerで始められる赤緯占星術>
このブログを読んでいる方で、Stargazerを使っている方も多いでしょう。
Stargazerの画面には、感受点の黄経の位置と赤緯の位置と両方が表示されます。
黄経については、サイン、ハウス、アスペクト、さらにサビアンまで、
基本的な知識から読み方まで、いろいろな情報を得ることができます。
ところが、赤緯については基本的な知識も読み方も、
これまでほとんど公開されてこなかったと思います。
ですが、「赤緯占星術」に詳しくなるほど、いかに今まで貴重な情報を捨ててきたのか、
気づかれていくことでしょう。
それは、「赤緯占星術」にはとてもクルーシャルな情報が含まれているからです。
クルーシャル(crucial)という単語には、なかなかピッタリ合う日本語がないようです。
ただ単に重要なだけでなく、結果を左右するような決定的に重要な、という意味です。
決定的に重要な情報がある「赤緯占星術」は、また分かりやすいということでもあります。
「赤緯占星術」のどんなところが、クルーシャルなのか。
まずは、いろんな例から見ていきましょう。
<蟹座でもアウト・オブ・バウンズの火星は強力>
クルーシャルな情報の一番目の代表例が、アウト・オブ・バウンズです。
黄道面の赤緯、23.26度を超える赤緯度数が、アウト・オブ・バウンズです。
アウト・オブ・バウンズの感受点(天体)は、並外れた能力を発揮します。
次の三人のアスリートの火星が、アウト・オブ・バウンズです。
本田圭佑 (サッカー選手) 火星 南緯25.09度 山羊座23.00度
ダルビッシュ有(野球選手) 火星 南緯28.25度 山羊座11.31度
松岡修造 (テニス選手) 火星 南緯24.35度 山羊座10.24度
優れたアスリートの中でも、並外れた活躍をしている(した)方たちです。
アスリートの命運を左右する火星が、アウト・オブ・バウンズなのも頷けます。
ですが、こんな見方をする方もいるかもしれません。
三人とも、山羊座火星のエグザルテーション。だから、ここであらためて、
アウト・オブ・バウンズ、規格外と言うこともないんじゃないの?
では、次の方はどうでしょう?
千代の富士貢(相撲力士) 火星 北緯24.25度 蟹座 04.00度
スポーツ万能、ウルフと呼ばれ、鍛え上げられた筋肉質な肉体を誇った横綱です。
蟹座火星はフォールとされますが、火星の力が弱まっているとは決して言えないはずです。
むしろ、アウト・オブ・バウンズ、規格外の火星が横綱の力をよく説明しているように、
思えます。
アスリートではありませんが、次のような方もいます。
山中伸弥(医学者) 火星 北緯23.32度 蟹座 08.00度
ノーベル生理学・医学賞を受賞、しかし、柔道二段、マラソンが趣味のスポーツマンです。
アウト・オブ・バウンズの火星が、研究面でのスタミナに役立っているように思えます。
上の五人の方の出生図を読むとき、サインやアスペクトなど黄経の情報の前に、
火星がアウト・オブ・バウンズと分かっていれば、かなり特徴を掴みやすいでしょう。
「赤緯占星術」の情報はクルーシャル、分かりやすいのはこうした点にあります。
<赤緯で読むスティーブ・ジョブズ>
「赤緯占星術」のアスペクトにも、クルーシャルな情報があります。
「赤緯占星術」のアスペクトは、パラレル、コントラパラレルの2つしかありませんが、
アスペクトになる感受点(天体)は、多くの情報を語っています。
実際の出生図で、パラレルの例を見てみましょう。
下は、アップルの創業者、スティーブ・ジョブズの出生図です。
(クリックすると拡大します)
これだけの有名人ですから、既にいろんな方の読み方が発表されています。

(Stargazerの出力物掲載には許可を得ています)
私は、スティーブ・ジョブズの予見力、揺るぎない信念の力に強く印象付けられています。
まるで未来の世界を訪れその場で見てきたかのような、革命的な製品を想像する予見力。
革命的な製品を、コンセプトから実際に世に出すまでの途方もない信念の力。
iPhone、iPadは、世界中で多くの人が手にして、文字通り彼が言うように、
「宇宙に衝撃を与え」「世界を変えて」きたと言えます。
その未来を予見する力と、揺るぎない信念の強さはどこから生まれたのでしょう。
黄経のアスペクトを見てみましょう。
火星は冥王星とトライン、天王星がスクエア、海王星がオポジション、です。
行動力とリーダーシップ、押し出しの強さはカリスマ的なものを示しています。
金星、火星、天王星、海王星が、活動サインのグランドクロスです。
周囲の人を、興奮の坩堝に巻き込むような荒々しさがあります。
では、予見力とヴィジョンは?
宗教や哲学への傾倒は?
絶対的なまでの信念と自信は、どこからやってくるのでしょう?
赤緯のアスペクトを見てみましょう。
太陽 南緯09.24度
海王星 南緯09.08度
太陽と海王星がパラレルです。そして、太陽は魚座にあります。
魚座の支配星は海王星です。太陽は海王星が支配星の魚座にあり、
パラレルと二重に海王星の影響を受けていて、海王星の性質を強く濃くしています。
海王星は、ヴィジョンと直感力、時空を超えた予見力を授けます。
ここに、ジョブズの未来を見通す予見力とヴィジョンの源があります。
このように、二重の影響のことをダブル・ワミー(double whammy)と言うことがあります。
パラレルは、もう一つあります。
木星 北緯22.20度
天王星 北緯21.49度
冥王星 北緯22.58度
冥王星と木星のパラレルは、極限なまでの絶対的な信仰や信念です。
成功を収める人にも見られる一方、新興宗教にのめり込むような人にも見られます。
ジョブズのパラレルには、これにテクノロジーの天王星が加わって、
変革とテクノロジーがもたらす発展に、絶対的なまでの信念を抱いているのです。
太陽と海王星、木星と冥王星の組み合わせは、まるで宗教団体の幹部か教祖のようだ、
とは言い過ぎでしょうか。
この組み合わせにテクノロジーの天王星が加わって、革命的な製品を生み出すことに、
まさにすべてを捧げた生涯だったのでしょう。
さて、アウト・オブ・バウンズとパラレルは、以前から使われてきた技法でした。
私は、この技法にさらに、「シャーマニック・シンボル」を加えた読み方を紹介します。
「シャーマニック・シンボル」とは、赤緯の一度ずつに割り当てられた、
詩文で構成されたシンボルです。
言わば、赤緯度数のサビアンシンボルと言っていいでしょう。
ただ、一行だけのサビアンシンボルと違い、何行もわたって書かれていています。
シンボルの文章を読んでいると、とても抽象的な内容なので、解釈しづらい面もあります。
ですが、松村先生の言う数の原理に基づいて読んでいくと、一貫した流れが見えてきます。
ジョブズを例に、シャーマニック・シンボルを見ていきましょう。
パラレルになっている太陽が南緯09.24度、そして海王星が南緯09.08度です。
松村先生のサビアンと同じように、数えの度数に直しますから、
太陽も海王星も、南緯10度のシャーマニック・シンボルを読んでいくことになります。
10の数字は、1から9までのサイクルを完成させて外側に打ち出していきます。
何か具体的な形あるものに落とし込むので、ジョブズの場合、これは製品開発でしょう。
では、北緯と南緯にはどんな意味が見いだせるでしょうか。
北緯の象徴的な意味、南緯の象徴的な意味とは、何でしょうか。
私はここで、北緯とは「トナール」、南緯とは「ナワール」のことだと、言い切ります。
「トナール」って何ですか?「ナワール」って何ですか?
という方もいらっしゃるでしょう。
ここでごく簡単に解説しておきます。
トナールもナワールも、カルロス・カスタネダの著作に登場します。
カスタネダの師匠である、ヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンが教えます。
人間には生まれときから働く二つの異なる側面があり、それがトナールとナワールで、
トナールは言葉で表わせるすべてのもの、ナワールはそれ以外のもの、だと。
そして、ナワールは際限のない大海、海であり、トナールは海に浮かぶ島だ、とも。
南緯が象徴するものも海、北緯が象徴するものも島、と表すことができます。
海とはリソース、資源、命の源のことです。
すべての命は海から生まれ、形になり、やがて形を失い、海に還ります。
命を宿すものは形ある未来を目指し、到達してから形を手放し過去に帰っていきます。
命の故郷である南緯。南緯10度のシャーマニック・シンボルには、こう書かれています。
「左側には雄鹿、右側にはヒグマがいて、アーチ門に案内されます。
小道を辿ると、動物、岩、植物、すべての守護者が集まる場所に到着します。
深い海の中に足を踏み入れ、海の中の洞穴に着ます。
ここは母なる生地、宇宙の中心です」
シャーマニック・シンボルの全文は長く、これは要約したものです。
動物に導かれて、生命の進化の源をさかのぼり、やがて海の生命の根源に到達する、
生命の源に帰っていくイメージが描かれています。
ジョブズの太陽と海王星は、生命の源を象徴する、南緯10度にあります。
ジョブズは、海の単細胞から魚、動物、そして人類へと進化してきた、
生命の進化の途方もない長い歴史を顧みていたのでしょう。
その上で、人類の進化の歴史に残るような製品開発を目指したのです。
そして、木星、天王星、冥王星のパラレルは、テクノロジーの革新的発展こそ、
人類の智恵を駆使する最高の表現だと確信したのだ、言えるのです。
こうしたジョブズの考察は、「スティーブ・ジョブズ1995」に、こう書かれています。
(ここから引用)
地球上のさまざまな動物の移動効率を測定した記事で、
クマやチンパンジー、鳥、魚などが載っていた。
1キロ移動するのに何キロカロリー消費するかがね。
人間についても測定していたけれど、トップはコンドルだった。
でも、自転車に乗っている人間を測った。断トツだった。
私はこの記事に衝撃を受けたんだ。人間は道具を作る生き物で、
道具によって生まれもっての能力を劇的に増幅できるという事実が、
鮮やかに脳裏に刻まれた。
将来、人類の歴史を振り返った時、人類が発明したあらゆるもののなかで、
コンピュータがもしトップでなかったとしても、
トップにきわめて近いところに位置づけられることになると心から確信している。
(引用ここまで)
ジョブズの揺るぎない信念と情熱、そして人類史の哲学がこの言葉に集約されています。
太陽と海王星の南緯10度のパラレル、木星、天王星、冥王星のパラレル、
の言葉の集約がここにあります。
このように、「赤緯占星術」にはとてもクルーシャルな情報が含まれているのです。
もう一つ、「赤緯占星術」のクルーシャルな情報を見出す技法を少し紹介しましょう。
<エバーティン・ライフ・スパン・グラフ>
進行法の月の動きは、三重円の予測技法の中でよく活用されます。
進行法の月の赤緯での動きも、とてもクルーシャルな情報を示しています。
進行法の月の赤緯の位置は、ターニングポイントを示します。
重要な位置は、進行法の月の北緯と南緯の頂点、そして0度の三つの位置です。
進行法の月の動きをグラフにして、人生のターニングポイントが示されている、
「ライフ・スパン・グラフ」として表したのが、かのエバーティンです。
ミッドポイントだけでなく、赤緯の研究でもエバーティンは優れた成果を残したのです。
再び、スティーブ・ジョブズを例に見ていきましょう。
ジョブズの生涯こそ、波乱万丈の生涯だった、と言えます。
ヒッピーから、パーソナルコンピュータを販売、アップルの株式公開で億万長者へ。
ところが業績不振の責任を問われて、一転して頂点からアップルを追われることに。
やがて、アップルのCEOに返り咲きiPhoneを開発、アップルは時価総額最大の企業に。
ジョブズの無名時代、株式公開の頂点、復帰後の躍進は、
進行法の月の赤緯の位置が示すターニングポイントと一致します。
1974年、ジョブズの進行法の月は南緯24度、南緯の頂点にありました。
南緯頂点は、生命の故郷に戻って自分のリソース、資源を充填するときです。
この年、ジョブズはヒッピー生活真っ盛り、自分探しのためインドに放浪の旅に出ました。
進行法の月はやがて南緯の頂点から、スポットライトを浴びる北緯に向かっていきます。会社を設立してコンピュータを販売、アップルは株式公開を果たします。
株式公開翌年の1981年に進行法の月は赤緯0度、ジョブズは一躍時の人になりました。
業績不振の責任を問われて、取締役会を追放されたのが、1985年です。
進行法の月が、北緯の頂点に達したのが1987年です。
この時から、ジョブズは自分が創業したアップルの経営からは離れていきます。
進行法の月は南緯に向かい、結婚、子供の誕生と充実した私生活を過ごしていきます。
やがて、アップルの正式なCEOに返り咲いたのが、2000年です。
翌年の2001年に、進行法の月は南緯の頂点に達します。
この年、ジョブズはiPodを発表、この時からジョブズの躍進が始まります。
2008年に進行法の月は、赤緯0度になります。
この前年がiPhoneを発売した年です。
株価も急伸し、iPadも発表、時価総額最大の企業へと向かっていきます。
進行法の月が北緯に向かう時代が、脚光を浴びながら躍進していく時。
進行法の月が南緯に向かう時代が、リソースを充填し、私生活を充実させる時。
北緯と南緯の頂点と赤緯0度が、ターニングポイントを示すのも、よく分かります。
「赤緯占星術」には、とてもクルーシャルな情報が含まれているのです。
(この三つのポイントの他にも、重要なターニングポイントがあります)
「赤緯占星術」には、使える情報がとても多いと実感しています。
今までの黄経の情報に加えて、これからは赤緯の情報も読むのもごく当たり前に、
なってくるでしょう。
黄経と赤緯の二つを読む、デュアルなリーディングへ。
これから公開を始めます。
「赤緯占星術」については、Kindle版電子書籍のリリースに向け、準備中ですが、
リリースの前に、講座を行なうことになりました。日時などは、次のとおりです。
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日時 2015年4月4日(土)
18:30~20:30 20:30~カフェタイム
場所 東京メトロ「外苑前」駅近くのカフエ
参加費 3000円
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参加申し込みや、場所の詳しい案内は次をご覧ください。
おーぷん・ざ・せさみず
赤緯の1度ずつのシンボル、「シャーマニック・シンボル」を紹介しますが、
これはおそらく日本で、初めての紹介になるでしょう。
「エバーティン・ライフ・スパン・グラフ」の求め方も紹介します。
「プログレス・シナストリ」作成手順は、CDのお土産付き予定です。
皆さまの参加をお待ちしています。
↓今回もご愛読ありがとうございます。応援いただきありがとうございます。

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